小豚と美貌鹿

生きる上で役立つなあ、と思ったこと、日々の生活の中で頭に入れたいことなどを纏めます。

英米契約実務において頻出の英単語表現纏め(1)

今回は趣向を変えて,司法試験の受験科目ではなく,実務に役立ちそうな話をしようと思います。学部やロースクールの授業などで使う事もあるかもしれません。

英文契約において使われる定型をまとめてみました。普通の文章より型がきっちり決まっているため、覚えると英文契約書も簡単に読めるということもあります。

 
【助動詞】
 
shall…〜しなければならない、〜するものとする
普通の英文だとmustが使われることが多いですが、英文契約においてはほとんど使われることがなく、shallが基本です。
willやbe obligated to〜で代用されることもあります。
 
 
shall not…〜してはならない
be prohibited from〜ingも同じ意味でよく使われます。
「決して〜ない」という「否定の強調」の意味を表す場合もあります。
 
 
may…〜する権利がある、〜することができる
権利を表す場合や、許可を表す場合に使います。権利を表す場合には、be entitled to〜という表現も使われます。
canも、「〜することができる」という意味ですが、「〜することのできる能力がある」という意味合いとなるため、契約書ではあまり使われません。
 
 
【接続詞】
 
and…および
or…もしくは、または
それぞれ単体で使われるのはもちろん、文中でand/orと二つの単語を並べて使う場合もあります。これは、and「および」とor「もしくは」の両方を、またはいずれかを選択できることを表現しています。
例えば、Buyer may purchase product A and/or B from Seller.
という文章があった場合、買主(Buyer)は、売主(Seller)からAとB両方の製品を買うこともできるし、AとBどちらか一方だけ買うこともできる、という意味になります。
 
whether or not…〜であるか否かを問わず
 
 
【指示語】
 
here+前置詞
この場合のhereは、this Agreement(本契約)もしくはthis Article(本条)を指すと考えると分かりやすいです。
つまり、hereto=to this Agreement、hereof=of this Agreementとなります。
the data hereofで契約日、the effective data hereofで契約の発行日という訳となります。
 
there+前置詞
この場合のthereは、以前に出てきた語句を表します。
例として、
Customer agrees that the Software,Documentation and all other related materials provided toCustomer,and all intellectual property rights therein,are exclusive property of Licenser or its suppliers.
とあった場合、この時のthereinは、in the Software,Documentation and all oher related materialsを表します。
 
notwithstanding…にもかかわらず
 
specified…記載された
これも、英文契約書で使われる指示語の役割を果たす用語です。
as specified above「上記のとおり」be specified in〜「〜に明記された」のように使います。
specifyのほかに、provideやset forthなども使われます。
 
in cosideration of〜…〜を対価として、〜を約因として
英米法のもとでは、契約を締結する際に、債務に応じた対価(=約因)が提供されていなければ契約は成立しません。つまり、片務契約は存在しないことになります。
 
due to〜…〜を原因として、〜のために、〜により
 
appendix/attachment/exhibit…添付書類、別紙
 
今回は以上です。
普通の英文の表現とは違う意味のものもあるので、なかなか難しいところではあると思いますが。
英文の契約書を見る機会があったときには、これらの表現をメルクマールとして読み解いてみてください。
 
                                    以上